「株式市場の種類」

皆様こんにちは。今回は前回の「株式の役割」に関連して、株式をやり取りする市場についてご説明します。

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【自由に参加して取引できる 】


市場という響きから、皆様は何を連想されますか?朝早くから水揚げされた魚を売る魚市場、採れたての野菜・果物を売る青果市場など、様々な市場がございますね。

 

 

株式の役割に関しては前回の記事でお伝えした通りでございますが、株式を発行した企業は、その株式をどのように扱うかを決めていかなくてはいけません。企業は株式を取り扱う方法として2つの方法を取れます。1つ目は、株式のやり取りができる公開市場を利用する方法。2つ目は、公開市場を利用しない方法です。

 

 

1つ目の株式の公開市場を利用する方法は、ある一定の審査があり、それをクリアした企業だけが利用できます。企業は一定量の株式をこの市場に出すことで、お金を調達しやすくなる、審査を通って市場を利用できるようになることから企業としての信頼を得ることができるなどのメリットがあります。しかし、株式を取得した投資家は経営に意見する権利等も得られるため経営の自由度が減る、買収されるリスクを被るなどのデメリットもあります。このように公開市場を使って株式をやり取りする仕組みに参加することを、上場といいます。

 

 

2つ目の公開市場を利用しない方法は、外部に株式が出て行かないので、株式の多くはその企業の経営者陣が株式を所有することになります。株式が不特定の投資家に渡らないため経営を自由に行えるというメリットがありますが、株式によるお金の調達がしにくい、企業価値が上げにくいなどのデメリットもあります。このように公開市場を利用しないことを、非上場といいます。上場・非上場どちらの方が良いかについては、その企業の状態・方針によって異なりますので一概には言えません。

 

公開市場でのみ株式のやり取りが行えますので、今回は公開市場に絞って市場の種類をお伝えいたします。株式が上場するには、ある一定の審査があると上記で述べましたがその基準はそれぞれの市場で異なります。そのため、その市場によって集まる企業に特色が出てきます。市場は日本にもいくつかあるのですが、今回は最も規模が大きく日本の株取引の中心地にある、東京の日本橋兜町に位置する東京証券取引所(通称:東証)にある市場を紹介致します。

 

ここには、①東証一部②東証二部③東証マザーズの、大きく3つの市場があります。①②と③に分けてご説明致します。

 

【東証一部 と東証二部 】

①東証一部と②東証二部は、一定の審査を経て東証に上場した企業の株式を流通する市場です。その中で厳しい基準を満たした一部の企業のみが東証一部に入ることができ、それ以外の企業は二部で流通されます。どのくらいその基準が厳しいかといえば、例えば二部であれば株主の数が800名以上であれば審査基準は満たすのですが、一部の場合は2200名以上いないといけませんし、また企業の時価総額も二部よりも一部の方の基準ははるかに大きくなければいけません。

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東証に上場する際、企業はまず東証二部に上場することになります。二部へ上場後は、一部上場を目指す企業は、更に厳しい審査を経て一部へ上場します。そのため中堅企業の多い東証二部と比べると、東証一部は財務体質が健全でかつ長年の歴史とブランド力のある大企業が多くなる傾向にあります。

 

全体の傾向として、東証一部二部ともそれなりに規模の大きい企業が多いため値動きは比較的穏やかになります。そのため、これから規模が拡大していく若い企業のように一年で大きく株価を上げるというのは難しいですが、株主優待や配当金などをもらえ、長期保有向きの企業が多くあります。

 

【③東証マザーズ】

③東証マザーズは、①東証一部②東証二部と比べると上場基準がゆるやかであるのが特徴で、そのためこれからの成長見込みのある若い企業や、ベンチャー企業が多く上場しています。東証マザーズは将来的に東証一部を目指したい企業のために、10年間東証マザーズに上場した企業にはそのままマザーズに居続けるか東証二部に変更するかの選択する権利を与えており、企業の成長に合わせて市場を移動できるような仕組みになっております。

 

このように、東証は大企業も中小企業もそれぞれに合わせた市場が用意されており、投資家は自分自身の判断でこれらの市場に出回っている株式に投資していくことになります。

 

全体の傾向として東証マザーズは規模が小さいため値動きが大きくなる可能性があります。一年で株価が2倍、3倍になることも珍しくはありません。その方が株式の面白さは感じやすいかもしれませんが、突然の暴騰・暴落ということもありますので東証一部二部と比べますと上級者向けになりますのでご注意ください。

 

 

【あなたのお好みはどれ…?】

このブログを読んでいただいている皆様は、安定している東証一部と、中堅でじっくり伸びていく東証二部と、これからの成長期待がある東証マザーズ、どれがお好きでしょうか。それぞれでどのような企業が入っているのかどうかは、ぜひ四季報などでお調べくださいね。

 

 

※本サイトで紹介する意見や予測は、筆者個人のものであり、所属する金融商品仲介業者としての意見や予測を表わすものではありません。また、紹介する個別銘柄の売買を勧誘・推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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