為替の仕組み

皆さんこんにちは。あっという間に夏も過ぎましたが、いかがお過ごしでしょうか。夏休みでご家族・友人と海外旅行に行かれた方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。今回は海外旅行だけではなく、市場にとっても重要な、為替についてご説明します。

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通貨の種類




為替の話をする前に、皆さんに質問です。この世の中には、一体どのくらいの通貨があるかご存知ですか?

 

世界の国は現在196か国あり、通貨の数は国だけでなくビットコインなどの仮想通貨も合わせると100以上もあるそうです。世界中にはこんなに沢山の通貨があるなんて、と驚きませんか。

 

通貨は現在、その地域内にとどまらず世界中で売り買いされるようになっています。例えば、海外旅行に行く時というのが一番イメージしやすいと思いますが、海外旅行に行く時には空港の外貨両替ショップなどで普段持っている日本円とその国の通貨を交換しますね。しかし、その時の価格が時間によって違うことはお気づきでしょうか。

 

 

通貨の値段は常に、リアルタイムで動いております。そして、その価値は相対的な価値で考えられています。例えば、ハワイに旅行に行く時にはアメリカドル(以下ドルと記載します)を買います。日本円をドルに換える時の基準になるのが、ドル対日本円の為替レートになります。これは、1ドルを買うために日本円がいくら必要かということを示しています。為替レートは、二つの通貨が天秤にかけられているイメージを持っていただくと理解しやすいと思います。

 

 

例えば1ドル=100円を基準として考えた場合、1ドル=80円で買える時は1ドルあたり20円ほど安く買うことが出来ます。1ドル=100円の時よりもドルが安い状態で、裏を返せば日本円が高いということですので、この状態のことを円高と言います。逆に1ドル=120円で買える時は、1ドル=100円の時と比べると1ドルあたり20円多く出さないと買えません。この場合はドルが高い状態で、この状態のことを円安と言います。

 

このように海外旅行に行く際には円高の方が外貨を買いやすくなるので、円高の方が良いのではないかと感じたかもしれません。しかし、一概に円高が良いとは言い切れません。

 

例えば、あなたのお仕事は日本車のアメリカへの輸出であるとしましょう。その車の、アメリカでの価格が3万ドルだとします。為替レートが1ドル=100円の時には日本円で換算すると300万円になりますが、為替レートが1ドル=80円になってしまうと240万円にしかなりません。売上高の目標が2億4000万円だったとしたら、1ドル=100円の時は80台販売すれば目標が達成できますが、1ドル=80円のときは100台販売しなければ目標が達成できません。このように同じ車であったとしても、為替に差が出てきてしまうと収益に大きな影響をもたらすことになるのです。

 

 

為替レートは必ずしも円が高ければ良い、または安ければいいという訳ではないこと、そしてたった1円の違いでも大きな影響が出てきてしまうことをご理解ください。

 

株式の世界においては、基本的には【輸出企業には円安、輸入企業または内需系企業には円高】が好感される傾向にあります。日本国内で製品を販売している中小企業も多いですが、日経平均株価指数に採用されているような上場企業の多くは輸出企業であるため、日本の株式の世界にとっては一般的には円安の方が有利とされております。

 

為替の値動きは世界情勢やFX(外国為替証拠金取引)などの投機売買によっても左右されています。また、今世界では政治や経済など様々な問題が露見されていますが、何か問題があった際にお金が集まるのが、有事の金・スイスフラン・日本円といった資産です。

 

 

例として何か海外で事件が起きた際に起きやすいお金の流れを説明します。例えばテロなどが起きた際、投資家は今後の政治経済に対する不安感などでリスク性資産からお金を退避させようとし、代わりに円を買う傾向があるので、円高傾向になります。輸出企業は円高の圧力で収益が圧迫されてしまうので、企業が為替対策をしていないと業績不振により株価が下がってしまうことがあります。このように為替は世界情勢や株価と切っても切れない関係にあります。

 

 

海外のニュースと為替を照らし合わせてみると、面白い発見があるかもしれませんね。海外旅行の時だけではなく、企業にも市場にも大きな影響を与えている為替に少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。

 

 

※本サイトで紹介する意見や予測は、筆者個人のものであり、所属する金融商品仲介業者としての意見や予測を表わすものではありません。また、紹介する個別銘柄の売買を勧誘・推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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